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本当の両親なら、自分をあんな地獄のような場所には置かない。
間違えてそうしたのだとしても、きっと助けに来てくれたはず。
レンちゃんは幼い記憶…強いパパ、優しいママの記憶を失ってはいなかっただろうと思います。
だから自分は両親に愛されている、捨てられたり売られたりはしない、そう信じたかった。
だが事実は、そんな僅かな希望を打ち砕いている。事実が、彼女の望むような両親ではなかったと告げている。
自分を「あんなことになってしまった前の子」と言い、見限り、忘れ去ろうとしている。
両親の愛は、新しい、無垢な、「けがれていない」次の子に向けられている。
レンちゃんの頭の中で、思い描くあたたかい両親は崩れていってしまった。
だから、言った。あんなのはニセモノだ、と。本物の両親は決して裏切らないパテル=マテルだ、と。
…実際は全て、不幸な偶然による悲運、勘違い、すれ違いです。
しかしレンちゃんにとっては、これ以上「事実」など知りたくない、と考えるのも当然でしょう。
今の自分を守ってくれる結社、レーヴェたち、パテル=マテルがいて、好きなように暴れられる。
その状況の中でこそ、悲しみの闇に沈まないで生きていけるのだから。

『空の軌跡the3rd』の「星の扉15」のセリフから考えると、レーヴェも「最悪の両親だ」と思っていますね。
偶然かどうか…レンに両親の「新たな子を授かって愛情を注ごうとしている姿」を見せ、声を聞かせてしまった。
そのことを、レーヴェは激しく後悔していたのではないかと想像します。
だから、どんどん強くなって新たな力(兵器)まで得て、後戻りできない破壊の天使になっていくレンを見ても…
たしなめたり止めたりすれば、もしかするとレンを支えている何かを壊すのでは?と、ためらい…
不安定でも、心の痛みを忘れて強く生きられるならいいだろう…しかしこのままでは光に戻れない…などと葛藤し。
彼はそうした自分の中の矛盾と問答しながらも、どうすればレンが幸せになれるのか模索し続けていたのでしょう。

2011 6 30(8.6 2コマ目修正) オーバル魔ペットJoya