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「描くのが非常につらい」内容の2頁目です。

レンちゃんは類い希な「環境適応能力」を持つ天才なので、どんな状況にも適応します。
悲惨な状況にも「適応」するため、心が壊れないように様々な対処が出来るのでしょう。
しかしそれは、心が強靭だ、ということではありません。心の痛みがあるのは、他の人と同じです。

人は、気が狂ったり意識を閉じたりすることで、「それ以上感じなく」なり、苦痛から免れるといいます。
ところがレンちゃんは適応能力が凄すぎて全てに適応してしまうから、本能的な防衛は働かない。
つまり、常人なら耐えられなくて既に心が破壊されているような酷い状況でも、耐えてしまい…
常人なら(心が壊れて)感じなくて済む、想像を絶する苦痛を感じ取り続けてしまうということです。

レンちゃんは、その能力を生まれつき、或いは『零の軌跡』での説明によれば、薬などで強化されて…
気が狂うことで逃避できる筈の残酷な痛みを、まともな精神のまま感じ、幼い心を直に深く傷つけられ。
狂うことも意識を閉じることもない。そのぶん余計に痛みや苦しみを感じ取ってしまう。
心に傷を負ってもそこから逃げられない。目も耳も記憶も塞げない。それは心が壊れることよりずっと残酷。
自分を守るために何重にも張り巡らせた「別人格」も全て破壊され、ついには魂の芯まで際限なく削られた。
考えるたびに、胸が締め付けられます。

それでも健気に生きようとする姿が、みっともないなんて、ありえない。絶対にけがれてなんかいない。
ただ、レンちゃん本人なら、そのように自分を分析するかもしれない、と考え最後のコマの台詞を書きました。

2011 6 26( 6 27〜29 加筆・修正 ) オーバル魔ペットJoya