レンの道 (文章:管理オーバル魔ペットJoya)
ファルコムのゲーム・英雄伝説『空の軌跡』シリーズのバレを含みますのでご注意ください。
特に、今回は『零の軌跡』プレイ後の感想をまとめたものなので、『零の軌跡』の大きなバレがあります。 2011.2.6
B 最後の賭け
その後、ブルブランがレンをさりげなく気遣っていることが分かるメッセージだとか いろいろありましたが割愛します。
最後の最後、ラスボスとして登場したのは、「助教授」でした。教授の次は助教授か…
この助教授、レンの運命を翻弄し、非道い目にあわせた黒幕です。
もっと幼い頃のレンやティオのような幼い娘たちを「実験」のために攫った教団。…その親玉です。
これは必ず、完膚無きまでに、叩きのめさなくてはならない。
この『零の軌跡』という物語は、要するに、このためにあったのだ。
レンを非道く悲しい形で巻き込んだ、未曾有の未解決事件を…
その始まりの地であるクロスベルの若い刑事たちが解決に導く話だったのだ。
魔都クロスベルは、レンちゃんを過酷な運命に陥れた、乱れた土地ではあります。
が、そこに生きる若者たちは、権力との狭間、葛藤の中で懸命に正義を示しました。
魔都が美しい都として再生するための第一歩。この若者たちには希望があります。
マイナスを気合いで埋めてゼロに至りました。プラスに至る物語は、これからでしょう。
さて戦う前の黒幕の言葉に、気になる内容が。
今まで、「楽園」でのレンは、自分の心を守るために自分の中から別人格を生み出したのだと思っていました。
が、どうもそうではなかったようです。
教団の「ロッジ」と呼ばれる施設の中でも異様な内容になっていった「楽園」。
その「楽園」にはレンの他にも子供達が実際にいて、その子らの人格を「取り込んだ」というのです。
ここからは私の想像ですが…
「実験」や、もっといかがわしい何かを原因として、周りの子らは命を失っていったのだと思います。
レンの魂は独りになるのをいやがり、死したその子らの人格を自分の中にコピーしたのではないかと。
そして、「仲間」だったものを、自分を守る盾として心の中に再現したのでは…。
違うかもしれません。もっとよく考えてみる必要がありそうです。
ただ、真相がどんなことにせよ… 考えると、胸を抉られるような痛みを覚える話です…
黒幕を…エステルたちと共に、ぶっとばしました。
こやつをエステル・ヨシュアと共にブッ倒せるのは、良い展開でした。
最後までエステルたちが蚊帳の外だったら、やはり、すっきりしなかったのではないかと。
欲を言えば、後半はもっとエステルたちの動向を描いてくれれば。
さらには、レンが最後の最後だけでも仲間になってくれるような展開であれば。
それでも、ピンチの時に、レンが助けに来てくれたのは嬉しかったです。
悪あがきの究極変身を遂げた黒幕に、ダブルバスターキャノン!!
あとはトドメをさせばいい感じにしてくれました。
この展開はどこかで見た…と思ったら、カシウスですね。
あの最強親父がやったことを、今度はレンが…。
さて…
戦いが終わるとすぐに立ち去ろうとするレン。
一歩近づいただけで、まだかくれんぼを続けてしまう展開か!? と焦りました。
また次回に持ち越しですか。さすがにそれはない。それはないだろう。
がんばれエステル、ヨシュア! なんか、なんかやれ! なんか!
…そこで落ち着き払って「もうレンはあたしたちに捕まってるわ」と言うエステル。
お、これは…いけるかな、と深呼吸。
それを聞いてびっくりしてしまうレンがすごく可愛い。
それからエステルが、いろいろレンの心に響く言葉をどんどん言うのでした。
レンは、またうるうるしてきました。
「楽園のことを知ったら諦めると思ったのに」と言うレン。
あまりに深い闇だから、それを知ってまで、かまってくるようなことはないだろう。
こんなに汚れてしまって、普通には生きられなくなった自分を追うことは、もう諦めるだろう。
そんなふうに思っていたのでしょうか。それがレンの言う「最後の賭け」だったのでしょうか。
エステルが諦めるかどうかの賭け。十中八九、諦める方に賭けていた…
否、本当の、本当に深い所での本心は、「諦めないでほしい」だったのではないかと思います。
「諦めると思った」というのは、本音の裏返し…だろうと。
思えば、はじめから… ロイドたちに名乗ったり、ネットワーク世界で活動してたりしたのは、
間接的に「自分を見つけてほしい」という無意識からの行動だったのかもしれません。
「そんなことないわ、違うわ」とレンは言い張りそうですが。
それでもアリオスに「余計なことを言わないで」と言ったのは、
エステル&ヨシュアが全てを知る前に会ってしまうと…
「自分の全てをさらけだす」という決意が揺らぐ、という不安があったからではないかと思います。
全てを知られた場合、追いかけてこなくなってしまうかもしれないというリスクがある。
さらけださないまま、2人に甘えてしまうこともできる。
でもそれは自分で自分を許せない、全てを知ってほしい、と思ったのだろうと。
SCでも3rdでもそうでしたが、言葉や行動の端々に「自分を知ってほしい」という
思いが滲み出てしまっている感じがします。そこがまたレンの可愛いところです。
物騒なことや、謎めいたことばかり言って遊んでいるのかと思いきや、
それは実は、人との繋がりを常に求めていることの現れなのではないかと。
エステルたちの側…つまり私の側から言わせれば、
「諦めるわけがない。全部うけとめまくりたいから追いかけているんだから」
でも、レンは、そこまで自分が愛されるとは思っていない。
だから半信半疑というか、また独りになる予想の方が強かった。
…そこまで愛されるんだよ、愛されるべきなんだよ。
それに甘えて、エステルとヨシュアに思い切り飛び込んでいっていいんだよ、と言い聞かせたい。
いや、言い聞かせなくても、もう分かったでしょう。
もう「ひとり」、この場面で忘れてならない存在は、パテル=マテル。
愛するご主人、レン様を手に乗せたまま、ずしんずしんとエステルたちの方へ歩き始めました。
レン様の命令なしで。だめだめと慌てるレンが、またしても可愛かった。
なんとマイスター(レンの協力者である「おじいさん」)の改良により、自分の意志を持ったらしいです。
いや、そうなる前から、レン様が寒そうな時はあったかい空気出してたり…
けっこう「心」みたいなものはもともと持ってた感じではありました。
ここで「歩み寄る」とは、にくいね! やるね! 「よくやったパテル=マテル!」…と呟きました。
その巨大な手から優しく降ろされたレンは、しっかりとエステルに抱きとめられました。
そして大泣きです。
こっちも大泣きです。
心が文字通りあたたかくなるのを感じました。ほっとしました。
ほんとうに良かった…と何度も心の中で繰り返しました。
『零の軌跡』を終えてから、妄想というか空想というか願望が途切れることがありません。
「家族」になった3人…それに加えてカシウスやティータたちとの触れ合い。
どんな様子だろうか、どんな毎日だろうか。
心の中の大きな岩が崩されて、根深い闇は消えずとも、その闇ごと抱きしめられて、
これから本当の笑顔で、本当のレンの旅が始まるのだと思います。
いてもたってもいられなくて、妄想を2次創作マンガなどにしている次第です。
実際に次回作でその様子が描かれることを切に願います。
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